一月の声に歓びを刻め
北海道・洞爺湖。お正月に一人暮らしのマキの家に家族が集まった。一家団欒のひとときに、そこはかとなく喪失の気が漂う。マキはかつて次女のれいこを亡くし、それ以降女性として生きてきた“父”のマキを、長女の美砂子は完全には受け入れていない。家族が帰ると、マキの忘れ難い過去の記憶が蘇りはじめる…。東京・八丈島。島に暮らす誠。妊娠した娘の海が、5年ぶりに帰省した。誠は交通事故で妻を亡くしていた。海の結婚さえ知らず、心中穏やかでない誠は海のいない部屋に入った時に、離婚届を発見してしまう。大阪・堂島。れいこは元恋人の葬儀のために訪れた故郷で、橋から飛び降り自殺しようとする女性と出くわす。そのとき、レンタル彼氏をしている男がれいこに声をかけた。過去のトラウマから誰にも触れることができなかったれいこは、そんな自分を変えるため、その男と一晩過ごすことを決意する。やがてそれぞれの声なき声が呼応し交錯していく
